なぜ鯖街道の熊川宿は人を魅了するのか?清流と歴史遺産を徹底解剖

なぜ鯖街道の熊川宿は人を魅了するのか?清流と歴史遺産を徹底解剖

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町歩きをスタートするなら、まずは宿場の中央に位置する中ノ町から散策するのが王道です。ここには、かつての問屋街の名残を留める大規模な塗籠造り(ぬりごめづくり)の町家や、うだつの上がる家並みが連続しています。若狭町観光名所の中でも、国指定重要伝統的建造物群保存地区としての重厚さを最も肌で実感できるエリアです。

代表的な熊川宿見どころの一つが、町指定文化財でもある「旧逸見勘兵衛家住宅」です。伊藤忠商事の初代社長となった伊藤竹之助の生家としても知られ、江戸後期の主屋や土蔵が丹念に保存されています。また、かつて村の義民として処刑されながらも人々を救った松木庄左衛門を祀る「松木神社」や、宿場の役所として機能した番所跡など、歩くごとに歴史の断面が立ち現れます。

現地を歩く取材班が着目したのは、表通りから一歩入った裏路地や寺町通りの静寂です。表通りの賑わいからわずか数十メートル離れるだけで、山裾の緑と苔むした石垣が織りなす圧倒的な静寂に包まれます。最近では、町並みに点在する築100年超の古民家を改装した分散型ホテル「八百熊川」など、歴史空間に身を委ねて暮らすように泊まる滞在スタイルも定着しつつあり、日帰りだけでは味わえない夕暮れ時の情緒が高く評価されています。

中島 亮太
著者

中島 亮太

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。