欧州連合(EU)の統計局データ等では、欧州市民の約65%以上が少なくともひとつの外国語を話せると回答しています。これに対し、日本国内におけるモノリンガル話者の割合は推定85〜90%以上に達しており、先進国の中でも際立って高い水準を維持しています。
文部科学省の外国語教育関連資料や各種民間調査を照合すると、ビジネスレベルで英語等の外国語を操れる日本人は実質1割未満にとどまります。この偏向をもたらした最大の要因は、明治期以降に西洋の学問・技術用語を「翻訳借用語(和製漢語)」として日本語に完全定着させた歴史にあります。高等教育から最高裁判所の法廷論争、最先端の医療現場に至るまで、母語である日本語だけで完結できる自足的な言語生態系が完成していたためです。
加えて、1億人規模の均質な内需市場が存在したことで、国内経済活動において外国語を習得する切実な経済的インセンティブが働きにくかった点も見逃せません。島国という地理的障壁と合わさり、日本社会は世界でも稀に見る「超高密度なモノリンガル社会」を形成するに至りました。