なぜ、人口わずか300万人ほどのモンゴルから、これほどまでに圧倒的な強者を輩出し続けることができるのか。その最大の理由は、幼少期から身体にしみついている国技ブフ(モンゴル相撲)にある。土俵のような仕切り線や俵がなく、広大な大草原の上で相手を倒すブフは、足腰のバランス感覚と体幹の強さを極限まで鍛え上げる。
厳しい自然環境と肉中心の食生活によって育まれる骨格の強さも見逃せない。だが、それ以上に決定的なのは「家族を養い、故郷に恩返しをする」というハングリー精神だ。日本の若者が享受する恵まれた環境とは対照的に、背水の陣で海を渡ってきた彼らには、立ち止まる選択肢など最初から存在しなかったのだ。