現代アートとホテルが融合した宿泊施設は今や珍しくありませんが、その潮流の決定的な先駆けとなったのがホテル アンテルーム 京都です。手がけたのは、ホテル カンラ 京都やMUJI HOTELなどを世に送り出し、空間デザインとコミュニティ形成で高い評価を受ける運営会社 UDS(小田急グループ)。彼らが築23年(当時)の学生寮兼エデュケーションセンターを再生させたこのプロジェクトは、単に絵画を壁に掛けただけの「アート風ホテル」とは根本から思想が異なります。
エントランスを抜けると広がる「GALLERY 9.5」では、京都を拠点に活動する若手クリエイターたちの企画展が定期的に開催され、購入可能な作品も多数展示されています。「常に変化し続ける京都のアート&カルチャーの今」をリアルタイムで体感できる仕組みこそが、感度の高い層を引きつけて離さない理由です。公式発表資料や建築デザイン各誌の取材記事でも語られている通り、ここは「アートを鑑賞する場」ではなく「アートの中で日常を過ごす場」として緻密に計算されています。
ネット上で囁かれる「まるで泊まれる美術館のよう」という噂は誇張ではなく、彫刻やペインティング、グラフィックが館内の廊下や共有スペースの細部にまで自然に溶け込んでいます。刺激的でありながら宿泊施設としての静けさを損なわない絶妙なキュレーションが、リピーターを生み出す強力なエンジンとなっています。