八角体制を論じる上で、多くの人が見落としがちな最大の盲点は「八角理事長=トップダウンの独裁者」という誤認です。
相撲協会は公益財団法人であり、重要事項の決定には外部理事を含む理事会での合議が法的に義務付けられています。八角親方の真の強みは、自らの意思を力ずくで押し通すことではなく、昭和の大鵬・柏戸時代から続く古い慣習と、文部科学省が求める現代的なスポーツガバナンスコードとの「緩衝材」として機能してきた点にあります。
もう一つの誤解は、八角部屋の運営と協会業務の両立に関する点です。理事長職の激務に追われながらも、隠岐の海を筆頭に長く幕内に定着する関取を輩出し続けられたのは、部屋付き親方や後進への権限委譲がシステムとして確立されていたからに他なりません。