このあまりにも残酷なラストシーンは、脚本家の気まぐれではなく、主演の松田優作本人が強く望んで実現させたものでした。関係者の手記や当時のインタビューを総合すると、壮絶な松田優作 最終話 制作秘話が浮かび上がってきます。
当時、日本テレビと制作会社セントラル・アーツ(プロデューサー・黒澤満ら)は、『探偵物語』の大ヒットを受けて当然のように続編シリーズや劇場映画化を計画していました。しかし、松田優作自身はその熱狂に対して強い危機感を抱いていました。ダウンジャケットにパーマ、ベスパに跨る工藤俊作のファッションやギャグが若者に消費され、自分が「おもしろい記号」として固定化されていくことに耐えられなかったのです。
当時の撮影現場で松田優作は、「工藤俊作は俺自身であって、俺自身ではない。このままでは工藤俊作という亡霊に食い殺されてしまう」という危機感を吐露していました。彼は俳優として次の次元へ進むため、映画『野獣死すべし』で見せた徹底的な肉体改造と狂気の演技へと舵を切る準備を進めていました。だからこそ、探偵物語 最終回 理由の真実は、自らの手で愛着あるキャラクターにとどめを刺し、商業的な続編の芽を完全に摘み取ることだったのです。村川透監督やスタッフとの激しい議論の末、優作は自らの分身であった工藤俊作を不条理の闇へと葬り去る道を選びました。