排便時の違和感を「市販薬で様子を見よう」と自己判断で放置することは、症状の悪化を招くだけでなく、重大な疾患の発見を遅らせるリスクを孕んでいます。トイレットペーパーに血が付く、便器が赤く染まるといった症状の背景には、単なる痔核だけでなく、潰瘍性大腸炎や大腸ポリープ、直腸がんなどの重篤な消化器疾患が潜んでいるケースが少なくありません。
特に強い腫れや突然の激痛を伴う「血栓性外痔核」や、細菌感染によって膿が溜まる「肛門周囲膿瘍」は、自然治癒を期待して放置すると炎症が広がり、激しい発熱や排膿を伴う痔瘻(じろう)へと進行します。初期の段階であれば外来での簡易な処置や軟膏処方、生活習慣指導のみで軽快するケースが約8割を占めるため、早期の鑑別診断を受けることが身体的・精神的な負担を最も軽くする決定打となります。