インターネット上の掲示板や知恵袋などでは、「民謡を習うと喉を潰してしゃがれ声になる」「ポップスの声が出なくなる」といった極端な噂が散見されます。しかし、これらの言説は現場の実態を反映していません。
伝統芸能の保存会や指導現場を取材すると、70代・80代になっても2オクターブ近い音域を艶やかな声で歌いこなす師範が多数存在します。もし民謡の発声が本質的に喉を破壊するものであるなら、数十年歌い続けること自体が不可能です。喉を痛めてしまう人の共通点は、「下腹の呼気圧を使わず、声帯周辺の筋肉だけで無理やり地声を張り上げている(怒鳴り声になっている)」という技術的エラーにあります。
また、民謡教室の評判に関しても変化が起きています。かつては「長老格の指導者に怒鳴られながら耳コピで覚える」という徒弟制度的なイメージが先行していましたが、2026年現在の民謡指導は大きく様変わりしています。
近年の教室では、ボーカルスクールのように解剖学的なアプローチや音声波形アプリを活用したロジカルな指導を導入するスタジオが増加しています。受講生の月謝相場も月2回で6,000円〜10,000円程度と一般的なボイストレーニングと同水準であり、津軽三味線や尺八の生伴奏に合わせて歌う圧倒的な爽快感を求めて、20代〜30代の若年層やビジネスパーソンの入門者が着実に増えています。