てんちむ(本名・橋本甜歌)のキャリアの原点は、2004年度から2006年度まで出演したNHK Eテレ『天才てれびくんMAX』です。当時小学5年生から中学1年生だった彼女は、「てんかりん」の愛称で親しまれ、透き通るような白い肌と大きな瞳、少しおっとりとしたマイペースなキャラクターで一世を風靡しました。
同時期には女子ローティーン向けファッション誌『ピチレモン』の専属モデルも務め、読者投票でも常に上位を争う王道アイドル的人気を誇っていました。当時の写真を見返しても、一切の濁りを感じさせない美少女ぶりであり、現在の大人びた艶やかさやエッジの効いた雰囲気とは対極にある「無垢な透明感」が際立っています。
しかし、画面越しに見せていた無邪気な笑顔の裏側で、精神的なひずみは急速に進行していました。自著『中学生失格』やのちの告白インタビューによると、母親からの厳格な教育方針や周囲からの過度な期待、学校での人間関係の悪化が重なり、小学校卒業と同時に深刻な反抗期へ突入します。「良い子」の仮面を脱ぎ捨てた彼女は、黒髪を明るい金髪に染め上げ、極太のアイラインとカラーコンタクトを装着した平成の強めギャルへと急激に変貌を遂げました。
中学時代に開設した個人ブログ(のちのアメーバブログおよびクルーズブログ)では、タバコ騒動や友人との夜遊び、荒れた私生活をありのままに綴り、1日数百万から数千万アクセスを記録。同世代の女子中高生から「大人の言いなりにならない反逆のアイコン」として熱狂的な支持を集めることになります。「優等生子役の挫折」で終わらせず、自らのダークサイドを強烈な求心力へと転換させた点に、表現者としての特異な資質がすでに現れていました。