Q1:sp2混成軌道を持つ分子は、絶対にすべての原子が同一平面上に存在しますか?
A1:分子全体が小さいエチレン(C₂H₄)やベンゼン(C₆H₆)、ホルムアルデヒド(HCHO)などはすべての原子が完全に同一平面上に存在します。ただし、分子が大きくなりsp3混成炭素(立体構造)が連結している化合物(例えばプロピレン CH₃-CH=CH₂)の場合、sp2炭素とその直結原子3つまでは同一平面ですが、メチル基の水素原子など分子全体で見ると平面から飛び出す原子が存在します。「sp2混成炭素の周囲3方向が局所的に平面である」と捉えるのが正確です。
Q2:二重結合が回転できないのはなぜですか?
A2:二重結合を構成する「π結合」は、2つの炭素のp軌道が平行に並んで側面で重なり合っています。結合軸を中心に回転させようとすると、この平行関係が崩れてp軌道の重なりが完全に消失し、π結合が切断されてしまうためです。π結合を切るには大きな熱エネルギーや光エネルギーが必要となるため、常温では回転が強く制限され、シス・トランス異性体(幾何異性体)が安定に単離されます。
Q3:グラファイト(黒鉛)やグラフェンもsp2混成軌道ですか?
A3:はい、グラフェンおよびグラファイトの各層は炭素原子がsp2混成軌道によって正六角形の網目状に強固につながった構造です。結合角は厳密に120度であり、混成に関与しない余ったp軌道が層全体で巨大な非局在化π電子ネットワークを形成しています。この非局在化したπ電子が自由に移動できるため、非金属でありながら高い電気伝導性を示します。