毎年のように12月中旬から下旬にかけて報じられる紅白追加アーティスト発表理由には、現代のテレビメディアが直面する構造的な課題が色濃く反映されています。11月中旬の一次発表時には名前がなく、大晦日間近になって「特別出演」としてアナウンスされる背景には、制作側と芸能プロダクション側の高度な政治的駆け引きが存在します。
かつての紅白は「紅組対白組」という対戦構造が絶対であり、出場歌手はその枠組みの中で競い合うのが原則でした。しかし、キャリアを重ねた大物アーティストや独自のブランドイメージを持つシンガーソングライターにとって、優劣を競わされることや短い持ち時間で代表曲をメドレー処理されることは、必ずしも望ましい条件ではありません。そこで発明されたのが紅白歌合戦特別企画枠です。
特別企画枠であれば、勝敗の縛りを受けず、専用の美術セットや生中継の許諾、十分な演奏時間の確保といった「破格のVIP待遇」を提示できます。NHK側にとっても、第1弾発表でベースの注目度を集めた後、12月のプロモーション期間に第2弾・第3弾の追加発表を行うことで、メディア露出の回数を最大化できるという明確な広報戦略が働いています。SNS上でのトレンド形成を意識した現代的なバズ・メイキングの一環と言えます。