新車発注時に予算削ぎ落としの対象にし、納車後に「擦るのが怖いから今から付けたい」と正規ディーラーへ駆け込むオーナーは後を絶ちません。しかし、整備現場の回答は非情にも「完全純正仕様の後付けは事実上不可能」です。
トヨタのパノラミックビューモニター設定車種(アルファード、クラウン、ハリアー、ヤリスクロス等)では、フロントグリル、左右ドアミラー基部、バックドアに専用設計の高精度カメラが埋め込まれ、車載メインワイヤーハーネス自体が専用設計となっています。さらに生産ライン上で特殊なターゲットシートを用いたカメラアライメント(ミリ単位の電子キャリブレーション校正)が施されており、ディーラーの整備工場現場でこれをゼロから施工することは配線敷設やECU交換を含めると天文学的な工数とコストがかかります。
どうしても後付けしたい場合は、データシステムなどのアフターパーツメーカーが展開する汎用360度カメラシステムや、社外製マルチビューカメラを電装専門店でインストールする選択肢に限られます。その場合のリアルな費用構成は以下の通りです。
- 社外360度カメラキット本体代金:約60,000円〜120,000円
- サイドカメラ埋め込み加工・通線工賃:約40,000円〜80,000円(ドアトリム分解、ミラーハウジング穴開け加工)
- ステッチング映像の専用校正作業工賃:約20,000円〜30,000円
- 合計出費目安:12万円〜23万円前後
新車注文時のメーカーオプション価格を確認すると、単体追加が可能なケースであれば44,000円〜60,000円前後、大型ナビゲーションや安全運転支援パッケージ(アドバンスド パーク等)とのセットオプションの場合でも150,000円〜270,000円程度で設定されています。社外品を後から無理に組み込む場合、純正ナビ画面との連動性や車両ステアリング切れ角とのガイドライン連動が制限されるリスクを孕むため、後付けは費用対効果と機能性の両面で極めて不利と言わざるを得ません。