体が熱を帯びているとき、それがウイルス感染によるものなのか、暑熱環境によるものなのかを即座に見抜くことは極めて重要です。両者の最大の違いは、脳にある体温調節中枢がどのように働いているかにあります。
風邪やインフルエンザなどの感染症では、侵入した病原体を退治するために免疫システムが作動し、脳の視床下部にある「セットポイント(設定温度)」が意図的に引き上げられます。そのため、発熱の初期段階では血管が収縮して悪寒(寒気)を感じ、ガタガタと震えながら熱が上がっていきます。
対照的に、熱中症における体温上昇は熱中症体温調節機能の破綻によって引き起こされます。気温や湿度の高さ、激しい運動によって体内に熱がこもり、本来であれば皮膚血管の拡張や発汗によって逃げるはずの熱が体内に滞留してしまう現象です。セットポイントは上がっていないにもかかわらず、冷却能力の限界を超えてエンジンがオーバーヒートしている状態と言えます。
現場で役立つ熱中症発熱風邪見分け方として、以下のサインに着目してください。咳、鼻水、喉の痛みといった上気道症状がなく、暑い環境にいた直後に皮膚が異常に熱く乾いている、あるいは大量の冷や汗を伴ってぐったりしている場合は、感染症ではなく熱中症を強く疑う必要があります。