なぜ被害者であるはずの人間が、周囲に対して極めて攻撃的になるのでしょうか。この矛盾を解き明かす鍵は、被害者意識が強い人の心理に潜む脆弱な自己肯定感とプライドの高さにあります。
彼らの内面では、「自分は特別な存在として扱われるべきだ」という肥大化した自己愛と、「ありのままの自分には価値がない」という強烈な劣等感が同居しています。精神医学において指摘される自己愛性パーソナリティ障害と被害者意識の密接な関連性(いわゆる脆弱型自己愛やカバート・ナルシシズム)がこれに該当します。
彼らが攻撃的になる最大の理由は、被害者の立場に立つことで「正当防衛」の免罪符を手に入れられるからです。「自分は攻撃されたのだから、相手を徹底的に非難しても許される」という歪んだ論理武装を行い、罪悪感なく他者を攻撃します。傷つきやすさを装いながら、実際にはモラルハラスメントの加害者へと容易に転じる構造がここにあります。