岩本恭生の半生を語る上で避けて通れないのが、最愛の妻・厚子さんとの別れです。二人は芸能界きってのおしどり夫婦として知られていましたが、厚子さんに乳がんが発覚し、その後骨や脳へと転移する過酷な闘病生活を余儀なくされました。
岩本恭生は当時、多忙を極めていた芸能活動を大幅にセーブし、自宅での看病と介護に専念しました。当時の手記やドキュメンタリー番組のインタビューにおいて、彼は次のように当時の苦悩と妻への深い想いを吐露しています。
「代わってやれるものなら、自分の命と引き換えに妻の病気を引き受けたかった。彼女が痛みに耐える姿を見るのが何より辛かったが、家族全員で一日一日を大切に生き抜くことだけを考えた」
約750日に及ぶ壮絶な闘病介護の末、2008年に厚子さんは旅立ちました。突然の別れによる深い喪失感(グリーフ)に打ちのめされた岩本恭生を支えたのは、残された長男の浩平さんをはじめとする3人の子どもたちでした。家族全員で悲しみを分かち合い、父を支えようと結束した家族の絆は、後の彼の生き方に決定的な影響を与えることとなります。