「苫小牧フェリーターミナルに向かってください」とタクシー運転手に告げた際、行き先が西港なのか東港なのか確認され、青ざめる旅行客の姿が今なお散見されます。現地取材および港湾関係者へのヒアリングによると、繁忙期を中心に「ターミナルを間違えて出航時刻に間に合わなかった」というトラブルが毎シーズン報告されています。
この混乱の根本原因は、同一市域内にありながら、両ターミナルの距離が一般道経由で約30km、車移動でも35〜45分ほど離れている点にあります。カーナビゲーションや地図アプリで単に「苫小牧 フェリー」と曖昧に検索した場合、市街地に近い西港へ自動誘導されるケースが多く、東港発の便を予約していた乗船客が直前になって誤りに気づくという事態が構造的に発生しています。
特にマイカーや自動二輪を運ぶ車両航送の場合、出航の60分〜90分前までに発券手続きと待機列への整列を完了させることが各船社の運送約款で義務付けられています。出航30分前に間違った港に到着していた場合、港間の移動時間を考慮するとその時点で乗船締め切りに間に合わず、当日キャンセル扱いとなるリスクが極めて高くなります。
各ターミナルを使用する運航船社と航路の割り当ては完全に分離されています。以下の区分を予約段階から厳格に記憶しておく必要があります。
- 苫小牧フェリーターミナル西港(入船町):
- 太平洋フェリー(仙台・名古屋航路)
- 商船三井さんふらわあ(大洗航路)
- シルバーフェリー(川崎近海汽船/八戸航路)
- 苫小牧東港周文フェリーターミナル(厚真町・苫東地区):
- 新日本海フェリー(敦賀・新潟・秋田航路)
日本海側を経由して本州(北陸・関西・信越・東北日本海側)へと向かう新日本海フェリーのみが東港を使用し、太平洋側へ向かう航路はすべて西港から発着します。この空間的配置の違いを認識することが、フェリー旅における最初の防衛策となります。