2015年2月、あまりにも突然訪れた悲劇。草刈正雄の長男・雄士氏は、都内にある父の個人事務所ビルから転落し、帰らぬ人となった。当時、警察の調査では事件性はなく凄惨な事故と判断されたが、突如として愛息を失った家族の悲しみはあまりに深かった。事務所のベランダの手すりに腰かけていた際に転落したと見られており、事故当時は作品の制作活動に没頭する中でふと息抜きをしていた最中だったという。
生前に撮影された写真の中には、父・正雄と肩を組み、照れくさそうに笑う雄士氏の姿がある。家庭内での彼は、妹たちにとっても優しく頼もしい存在であり、父にとっても自身の若い頃を重ね合わせる特別な存在だった。父・正雄は事故後、しばらくの間は深い失意の底に沈んでいたが、息子の遺した作品や思い出を抱きしめながら、再び役者としての道へと足を踏み出すことになる。そこにあったのは、言葉を超えた強い親子の血の絆だ。