当時、週刊誌やワイドショーを連日賑わせたのが「飯島直子のCMギャラは1本1億円を超えているのか」という巨額報酬の噂でした。当時の大手広告代理店関係者の証言や業界動向を精査すると、バブル経済崩壊後の引き締め期にあって1本1億円という数字はやや誇張されていたものの、年間契約料で6,000万円から8,000万円規模に達していたのは紛れもない事実です。複数社との年間契約を維持していた全盛期の広告収入は、当時の芸能界でも指折りの規模でした。
しかし、その華々しい活躍の陰で、本人は深刻な葛藤を抱えていました。世間が求める「完璧に優しく、すべてを受け止めてくれる癒やしの天使」というパブリックイメージと、素の自分との落差です。後年のインタビューでも明かされている通り、どこへ行っても癒やしを求められるプレッシャーは計り知れないものでした。
そのステレオタイプを打破したのが、ドラマ『智恵子抄』や『汚れた舌』、そして大ヒット作『最後から二番目の恋』といった作品で見せた骨太な演技力です。単なる「CM美女」に安住せず、生々しい感情を持つ大人の女性を泥臭く演じ切ったことで、彼女は一過性のアイドル的タレントから息の長い実力派表現者へと脱皮を遂げました。