多くの患者にとって最大の関心事は「一体いつになったら普段の味が戻るのか」という点です。国内外の疫学調査や耳鼻咽喉科学会の報告によると、感染後に生じる味覚障害の平均的な回復期間は発症から2週間〜3週間程度とされています。軽症例であれば、隔離期間が明ける頃から徐々に塩味や甘みを感じられるようになり、1ヶ月以内には約80%以上の人が違和感のないレベルまで自然回復します。
一方で、残る10〜20%前後の患者は発症後2〜3ヶ月以上、重いケースでは半年から1年以上にわたって症状が遷延することが分かっています。回復のプロセスには個人差が大きく、ある日突然一気に戻るというよりは、特定の味覚から段階的に戻っていくのが典型的な経過です。
味覚が戻り始める初期段階では、「甘みだけかすかに感じる」「醤油の塩気だけ分かる」といった部分的な感覚の復調が見られます。その後、酸味や苦み、そして料理全体のコクや風味を感じられるようになるまで、数週間単位でゆるやかにグラデーションを描きながら改善していくケースが一般的です。