日本の手技療法史を語る上で欠かせない伝説的施術家、浪越徳治郎は「指圧の心は母心」という言葉を残した。その教えの神髄は、技術の精度以上に相手を思いやる手手の温もりにある。昭和から平成、そして現代へと時代が移り変わっても、人間同士の触れ合いが持つ癒やしの本質は変わらない。
現代のボディケアシーンにおいて、この「指圧の心」は科学的にも再評価されている。肌と肌が触れ合うスキンシップによって脳内からオキシトシンと呼ばれる親密ホルモンが分泌され、施術者・受療者の双方が幸福感に包まれる仕組みだ。単なるコリの物理的解体ではなく、相手をケアする行為そのものが互いの精神的健康を支えている。