作品を豊かな叙情性で満たした立役者が、アニメーション監督の白井孝奈と、主人公・カンナ役を瑞々しく演じ切った俳優の蒔田彩珠だ。スタジオのライデンフィルムが総力を挙げた圧巻の作画技術は、走ることの躍動感と神域の荘厳さを見事に融合させ、観客の心に強く訴えかけた。
制作陣が徹底した現地取材を重ねて構築した神道・日本神話の世界観は、神職や専門家からも高く評価された。目に見えない神々の存在をファンタジーとして消費するのではなく、自然を敬い、喪失と向き合いながら前へ進む人間の普遍的なドラマとして描き切った点に、本作の類まれな深みがある。