冠婚葬祭の現場取材において、最も相談や誤解が集中するのが葬儀の作法です。真宗大谷派の教義では、阿弥陀如来の誓願によって「亡くなった瞬間に極楽浄土へ往生し仏となる(即得往生)」と説かれます。この教義に基づき、他宗派で一般的な慣習が明確に禁じられています。
具体的には、以下の3点において現場での配慮が求められます。
- 「ご冥福をお祈りします」は使わない:故人はすでに阿弥陀仏の救いを得て成仏しているため、死後の迷いや冥界を前提とする「冥福」という言葉は教義に反します。お悔やみの挨拶は「謹んでお悔やみ申し上げます」または「哀悼の意を表します」を用います。
- 清めの塩を使わない:死を「穢れ(けがれ)」とみなさないため、会葬礼状に塩を同封せず、帰宅時に塩を振る行為も行いません。
- 線香は立てずに折って寝かせる:線香をあげる際は、香炉の大きさに合わせて適当な長さに折り、火を左側にして横に寝かせます。
現場の僧侶への聞き取り調査でも、「他宗派の形式に引っ張られて額に焼香を掲げてしまう方や、塩を求める親族が後を絶たない」という声が多く挙がっています。作法の違いは形式的な優劣ではなく、故人がすでに救われているという安心の表明であることを理解することが大切です。