なぜヤモリはこのような陰湿かつ高度な拷問手法を知っていたのでしょうか。その背景には、喰種収容所「コクリア」における加害の連鎖が存在します。
かつてヤモリ(本名:大守八雲)はコクリアに収監されていた際、狂気のCCG捜査官・戸影豪正(とかげ ごうまさ)から連日執拗な拷問を受けていました。その際、戸影がヤモリの意識を保たせるために強要していた台詞こそが「1000引く7は?」だったのです。
激痛の果てに「自分が拷問される側から、拷問する側に回る」ことでしか精神を保てなくなったヤモリは、戸影の人格と拷問器具、そしてあの計算式をそのまま自らの狂気として内面化してしまいました。
しかし、この負の連鎖はカネキによって劇的な終焉を迎えます。精神世界で神代利世(リゼ)と対話し、自らの「優しさという名の無力さ」を捨てて喰種としての生を受け入れたカネキは、黒髪から色素が抜け落ちた「白カネキ」へと覚醒。拘束を破り、圧倒的な戦闘力でヤモリをねじ伏せます。
戦闘後、瀕死のヤモリの耳元でカネキが静かに放った言葉が、あの伝説的なセリフです。
「ねえ……1000引く7は?」
立場が完全に逆転し、かつて自分を苦しめた拷問の呪縛を相手へとそのまま突き返すこの名シーンは、原作漫画第66話、およびアニメ第1期第12話(最終話「喰種」)にて描かれ、シリーズ屈指の神回として語り継がれています。