SNSや動画投稿サイトでは、針や毛抜きを用いて「目の下の白いブツブツを自分で押し出す」様子を収めたコンテンツが定期的に拡散されます。しかし、臨床の現場を取材すると、安易な自己処理がもたらす代償の凄まじさが浮き彫りになります。
都内の美容皮膚科・形成外科クリニックで日々レーザー治療を手掛ける専門医は、取材に対して次のように現場の危機感を証言します。
「YouTubeや知恵袋の書き込みを見て、裁縫針をライターで炙って自分で皮膚を裂き、内容物を出そうとした患者さんが少なからず来院されます。しかし、眼瞼の皮膚の厚さはわずか0.5〜0.6ミリとティッシュペーパー1枚分程度しかありません。手元の狂いで真皮や眼輪筋を傷つけ、結果としてクレーター状の陥没瘢痕や、長期にわたる炎症後色素沈着(PIH)を残してしまうのです。稗粒腫であればクリニックで無痛かつ数百円〜千数百円の保険診療で摘出できるものを、自傷行為によって数万円のレーザー修正治療が必要な状態へ悪化させています」
ネット上の掲示板や知恵袋を検証しても、「針で突いたら血が止まらなくなり紫色に腫れ上がった」「バイ菌が入って蜂巣炎寸前まで腫れ、視界が塞がった」といった生々しい悲鳴が多数記録されています。特に汗管腫の場合、病変の主体は皮膚の表面ではなく「真皮深層」に存在するため、表面を針で突いても何も排出されず、組織を挫滅させてかえってしこりを巨大化させる結果に終わります。「自分で取る」リスクは、整容的にも医学的にも百害あって一利なしと断言せざるを得ません。