篠山紀信の名声を世界的なものにしたのは、国内のエンターテインメントにとどまらない。1980年、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの連名アルバム『Double Fantasy』のジャケット写真を撮影したエピソードは、今なお世界中の音楽ファンと写真愛好家の間で語り継がれている。
ニューヨークのセントラルパークやスタジオで撮影された一連のポートレート写真は、2人の深い愛情と魂の結びつきを完璧に捉えていた。ジョン・レノンが暗殺される直前に捉えられたモノクロのキスシーンは、悲劇的な運命も手伝って世界的なアイコンとなった。被写体と一瞬で信頼関係を築き、その本質を力強く引き出す篠山のポートレート写真における卓越した才能が、世界的なマスターピースを生み出した瞬間である。