長期政権を築くディディエ・デシャン監督にとって、最大の命題は戦術の再構築にある。長年ピッチの中央で攻守のリンクマンを務め、チームの心臓として機能していたアントワーヌ・グリーズマンの代表引退は、一つの時代の終焉を告げた。
デシャンが選択したのは、より縦への推進力とフィジカルを前面に押し出すアグレッシブなスタイルだ。中盤には運動量とボール奪取力に長けた次世代のタレントを並べ、奪った瞬間から直線的に相手ゴールへ迫る。グリーズマンが担っていた繊細なゲームメイクを、個々の圧倒的な推進力と組織的な連動で補うアプローチへ舵を切った。
この戦術的シフトは、守備ブロックを固める相手に対して時に苦戦を強いられるリスクを孕む。だが、ひとたびスペースが生まれれば、相手ディフェンス陣を瞬時に壊滅させる破壊力を生み出している。