ネット上のレビューや質問サイトにおいて、「ビター・ブラッドを観ていたけれど広瀬すずがいた記憶がない」「1話限りのゲストだったのでは?」という声が散見されます。この記憶のギャップが生まれる原因には、本作特有のドラマ構成上の仕掛けがあります。
本作の基本プロットは、佐藤健さんと渡部篤郎さんが演じる「最悪で最強の親子刑事」が、銀座の街で発生する凶悪事件を足で稼いで解決していくポリスアクションです。そのため、本編尺の8割以上は警察署内部か事件現場、あるいは逃走劇に割かれます。広瀬すずさん演じる忍は警察関係者ではないため、緊迫した捜査会議やチェイスシーンには一切顔を出しません。
つまり、彼女の出番は「捜査を終えてボロボロになった夏輝が帰宅する夕方・夜のシーン」や「出勤前の朝食シーン」に集中していたのです。1話あたりの正味の出演時間は2〜5分程度にとどまる回もありました。この「濃厚なワンポイント起用」こそが、リアルタイム視聴者の一部に「ゲスト出演だったかもしれない」と錯覚させた構造的要因です。しかし、ドラマ全体のトーンにおいて、張り詰めた緊張を解きほぐす彼女のシーンは、作品のテンポを維持する上で不可欠なスパイスでした。