三女とは対照的に、教団と家族を激しく拒絶したのが麻原彰晃の娘である四女(著書でのペンネーム:松本聡香)です。事件当時まだ5歳だった四女は、教団施設内で育児放棄に近い過酷な環境に置かれ、教団幹部たちから理不尽な体罰や虐待を受けたと手記で告発しています。
彼女が2010年に出版した『私はなぜ麻原彰晃の娘に生まれてしまったのか』(徳間書店)は、世間に大きな衝撃を与えました。本の中では、父親が指示した凄惨なテロ行為に対する激しい嫌悪感と、遺族・被害者への贖罪の思いが赤裸々に語られています。四女は高校進学を機に家を飛び出し、江川紹子氏をはじめとする支援者の助けを借りて自活の道を模索しました。
彼女の告白の凄絶さは、自らの出自そのものを呪い、何度も自死を図ったという記述に表れています。「麻原彰晃の娘」というレッテルから逃れるため、彼女は2017年に家庭裁判所へ申し立てを行い、両親に対する「推定相続人の廃除」を認められました。これは法的に両親の遺産を受け取る権利を放棄し、実質的に親子関係の完全な断絶を宣言する異例の司法手続きでした。現在も精神的な後遺症と闘いながら、安全上の理由から身元を厳重に秘匿し、限られた支援者とともに暮らしていると伝えられています。