サッカーアメリカ代表を取り巻く言説には、いくつか根深い誤解が存在します。その最たるものが、「MLS(国内リーグ)のレベルが低いため、国内組の招集は戦力ダウンにしかならない」という言説です。
実態は大きく異なります。近年のMLSは、南米の超有望株が欧州へ行く前の中継地点として機能しており、リーグ全体のインテンシティと戦術強度は劇的に向上しています。代表招集においても、MLS所属選手は「控え」ではなく、戦術的なピースとして適材適所で組み込まれています。国内組は長距離移動の疲労が少ないという地の利もあり、過密日程のトーナメント戦において極めて戦略的なアドバンテージを握っています。
また、「アメリカはフィジカル一辺倒のキック&ラッシュ」という過去のパブリックイメージも完全に時代遅れです。現在のポチェッティーノ体制では、最後方からのビルドアップとハーフスペースの攻略を綿密に設計しており、モダンで洗練されたポジショナルフットボールを展開しています。
【プロの結論】アメリカ代表の躍進を期待できる人・過信を避けるべき人
ここまでの戦力分析とチーム状況を踏まえ、今大会のアメリカ代表をどう見るべきかの判断基準を整理します。
▼躍進にベットできるファン:
開催国の圧倒的なホームアドバンテージ、強靭なフィジカルと運動量をベースにしたハイプレッシング戦術、そして名将ポチェッティーノのトーナメント勝負強さを評価する人。欧州の伝統国を相手にしてもフィジカルと走力で上回り、ベスト8以上の快挙を達成する可能性は十分にあります。
▼過度な期待を避けるべきファン:
過去の歴史やトーナメント終盤の試合巧者ぶりを重視する人。アメリカ代表の歴史において、最高成績は1930年の3位、近代サッカーでは2002年日韓大会のベスト8が最高峰です。ノックアウトステージの極限状態において、ブラジル、フランス、アルゼンチンといった超大国が持つ「勝負勘」や「狡猾さ」に対抗できるかは、依然として未知数な部分を残しています。