閑静な住宅地に面した鳥居をくぐると、外の喧騒が嘘のように遮断された重厚な空気が参拝者を迎える。境内には佐賀市の歴史遺産としても名高い貴重な文化財が点在しており、見どころは尽きない。
1. 慶長12年建立の佐賀市指定重要文化財「石造肥前鳥居」
境内に堂々と構える鳥居は、慶長12年(1607年)に鍋島直茂公によって寄進された佐賀市指定重要文化財「石造肥前鳥居」である。肥前鳥居の造形美は他に類を見ない。笠木と島木が一体化して両端に向かって緩やかに反り上がり、柱は下部に向かうほど太くなる重厚な三本継ぎ構造をとる。400年以上の風雨に耐え抜いた石肌の質感は、訪れる者に言葉を超えた畏敬の念を抱かせる。
2. ユーモラスで温かみのある「石造肥前狛犬」
鳥居の先には、同じく市指定文化財である「石造肥前狛犬」が鎮座している。一般的な鋭い牙や巻き毛を持つ江戸後期の狛犬とは異なり、まるで丸太や自然石からそのまま削り出されたかのような、素朴で愛嬌のある表情をしている。鼻梁が平たく、前足を真っ直ぐに揃えたミニマルな造形は、初期肥前狛犬特有の様式美として彫刻ファンや歴史愛好家の垂涎の的となっている。
3. 街の守り神が同居する「伊勢恵比須神社」
社殿の傍らには、境内社として「伊勢恵比須神社」が祀られている。佐賀市は「日本一の恵比須像の数を誇る街」として知られており、この伊勢恵比須もその中核的存在だ。大願成就や子孫繁栄をもたらす本殿の天照大御神と、日々の商売繁盛・生業発展をもたらす恵比須神が同一境内で拝めることから、地元の商店主や企業経営者が毎月朔日(ついたち)参りに訪れる光景が日常となっている。