書類選考や企業間取引の成否を分ける第一歩は、テキストコミュニケーションにおける正確な敬称の選択です。特に就活生や転職希望者が提出する書類において、この使い分けは基礎教養の有無を測るバロメーターとなっています。
まず、履歴書での貴社の正しい書き方においては、志望動機欄や自己PR欄、本人希望記入欄など、すべての項目で一貫して「貴社」と記載します。例えば、「貴社の確固たる事業基盤と先進的な開発環境に魅力を感じ志望いたしました」「貴社の営業部門において前職の経験を活かし貢献できると考えております」といった表現が標準的です。
近年の採用活動で主流となったWebフォーム入力における、エントリーシート貴社表記の注意点も見逃せません。オンライン入力であっても、提出物は文章であるため「貴社」を使用するのが鉄則です。文字数制限が厳しい設問であっても、「御社」と書いて文字数を削るような行為は避けてください。さらに、誤変換で「帰社」や「記者」になっていないかを送信前に徹底確認する推敲プロセスが欠かせません。
一方、日々の実務におけるビジネスメールにおける貴社の使い方も基本構造は同じです。取引先への連絡、見積書の送付、面接日程調整の返信メールなど、あらゆる文面で「貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」「貴社のご要望に沿えるよう尽力いたします」のように使用します。
あわせて整理しておきたいのが、貴社と弊社・当社の違いです。貴社が相手の会社を指すのに対し、「弊社」と「当社」はどちらも自分の会社を指す言葉です。ただし用途が分かれています。
「弊社」は社外の相手に対して自社をへりくだって呼ぶ謙称であり、取引先へのメールや商談で用います。「当社」は自社を丁寧に表す言葉ですが謙称ではないため、社内会議や社内報、あるいは自社の公式見解を発信するプレスリリース、株主総会など、対等または公の立場で発言する際に用いるのが適切です。顧客や応募先企業へのメールで自社を「当社」と書いてしまうと、傲慢な印象を与えかねないため注意を払う必要があります。