現在、皇居周辺に残る江戸城石垣の現場では、文化庁の手によって歴史的建造物の保存・復元に向けた技術継承が進められている。特に「江戸城築城・石垣修復プロジェクト」では、400年前と同じ産地から切り出された石材を用いて、当時の工法を忠実に再現する試みが精力的に行われている。
石工の手元に注目してほしい。機械でカットされた均一な石材とは異なり、手作業で割られた石はひとつとして同じ形が存在しない。隙間なく噛み合わせる「野づら積み」や「打込ハギ」の技法は、地震の揺れを効果的に逃す免震効果すら発揮する。江戸の職人たちが培った叡智は、現代の土木工学すら凌駕する奥深さを秘めている。