「木へんにト」と書く漢字「朴」を目にしたとき、大半の方が真っ先に思い浮かべるのは「素朴(そぼく)」の「ぼく」でしょう。しかし、漢字辞典や人名辞書を詳細に紐解くと、日常会話ではあまり意識されない多彩な読み方が存在します。
文字体系における正式な分類は以下の通りです。
- 音読み:ボク、ハク
- 訓読み:ほお、ほう(常用外:えのき、きはだ、すなお、ありのまま、まるた)
- 人名読み(名乗り):すなお、なお、まさ、すけ、しげ、のき
訓読みの代表格である「ほお(ほう)」は、日本固有の植物である「朴の木(ホオノキ)」を指します。郷土料理の「朴葉(ほおば)味噌」や「朴葉焼き」の文字として触れたことがある方も多いはずです。古語や特定の地域では「えのき(榎)」や生薬の「きはだ(黄檗)」を指す用例もあり、樹木全般の原始的な姿を投影した読みが今も息づいています。
さらに人名においては「なお」「すなお」と読ませるケースが目立ちます。余計な装飾を削ぎ落とした「純真さ」や「素直さ」を祈念する名付けとして、静かな支持を集め続けている背景がここにあります。