「なぜ日本代表の大一番なのに地上波で放送されないのか」――SNSやネット掲示板で幾度となく炎上するこの疑問には、現代スポーツビジネスの冷酷な市場原理が横たわっている。公式資料や放映権ビジネスの推移を検証すると、AFCが管轄するワールドカップアジア最終予選のアウェイ放映権料は、過去10年間で約3倍から4倍近くまで跳ね上がった。
かつては電通などが一括取得し民放各局に卸していたが、海外の代理店(FMAなど)が巨額の独占契約を結んだ結果、1試合あたりの放映権料は数億円規模へと急騰。テレビ各局の広告収入モデルでは採算が到底合わない領域に突入した。その結果、巨額の資金力を有するストリーミング大手「DAZN」が長期の独占配信権を買い取る形が定着したのである。
ホーム戦に関してはJFAが主導権を握る余地があるためテレビ朝日系列などの地上波放送が死守されているが、アウェイ戦に関してはDAZNの有料プラットフォームにアクセスしなければリアルタイム観戦が叶わない。一部で実施される「FanZone」企画や条件付き無料開放施策をチェックしつつ、熱狂的なファンは月額料金(年間プラン利用時を含む)を投じて確実な視聴環境を確保するのが現在の観戦スタンダードとなっている。