シナモロールが世に送り出された経緯を紐解くと、サンリオの徹底したリサーチとクリエイターの情熱が交差するドラマが存在します。生みの親は、サンリオのデザイナーである奥村心雪(おくむら みゆき)氏です。
2000年代初頭、サンリオ社内では「ハローキティ」や「マイメロディ」に続く、次世代を担う新キャラクターのコンペティションが活発に行われていました。当時、女子中高生から大人の働く女性たちの間で「癒やし」を求める機運が高まっていた時期です。奥村氏は、ふわふわとした雲のような質感と、誰もが触れたくなるような柔らかい曲線を追求し、2001年にプロトタイプとなるキャラクターを描き上げました。
シナモロールの誕生秘話と歴史経緯において特筆すべきは、当初の名前が「ベビーシナモン(Baby Cinnamon)」だった点です。2002年5月に本格的なグッズ展開がスタートした際はこの名称でデビューしましたが、海外展開や商標権の兼ね合い、さらに「ベビー」という枠組みを外して幅広い世界観へ拡張させる戦略的判断から、2003年3月にシリーズ名を「シナモロール」へと改名しました。この名称変更を機に、カフェ・シナモンを中心とした緻密な世界観が確立され、人気は一気に全国区へと爆発していったのです。