社会心理学およびスポーツ心理学の視点から分析すると、SASUKE挑戦者たちの心理構造には「代替不可能なアイデンティティの獲得」という強い欲求が存在します。昭和から平成にかけての日本社会において、会社員や自営業者は「組織の歯車」としての役割を過剰に求められてきました。その中で、学歴や肩書を一切剥ぎ取られ、泥水に落ちるか頂上へ立つかという極限の二者択一に身を置く行為は、現代社会における究極の精神的カタルシスとして機能しています。
しかし、この情熱は一歩間違えれば家庭環境や経済基盤を揺るがす深刻な依存(心理的バウンダリーの崩壊)を引き起こしかねません。かつて山田勝己氏が仕事を失いながらもセット製作に没頭したエピソードに象徴されるように、自己実現の情熱と現実生活のバランスをいかに保つかが常に問われています。
【プロの判断基準】SASUKE的挑戦に向いている人・慎重になるべき人の条件
向いている人の条件:
- 安定した生活基盤・職業を持ち、自立した経済環境の中で練習時間を捻出できる人
- 失敗を他責にせず、ミリ単位の動作改善を孤独に楽しめる研究者気質・データ分析志向を持つ人
- 家族やパートナーに対して活動への理解を得るための丁寧なコミュニケーションを怠らない人
慎重になるべき人の条件:
- 知名度やSNSのフォロワー増加、一攫千金の金銭的リターンを目的にしている人
- 生活費や家族の生活を犠牲にしてまで練習器具の購入や遠征を優先してしまう人
- ケガによる休職や本業への支障についてのリスクマネジメントが想定できていない人