「心配事の9割は起こらない」という命題を、実験心理学のフィールドで真っ向から検証した象徴的なデータが存在します。その筆頭が、米ペンシルベニア大学のトマス・ボスコヴェック(Thomas Borkovec)教授らが行った全般性不安障害(GAD)に関する追跡研究、そして認知行動療法の世界的権威であるロバート・L・リーヒ(Robert L. Leahy)博士が主導した臨床調査です。
研究チームは、被験者たちに「日々抱いている具体的な心配事」を日記形式で詳細に記録させ、それが一定期間後に実際に現実化したかどうかを徹底的に追跡調査しました。その結果、判明した数値は人々の直感を根底から覆すものでした。
リーヒ博士の分析によると、被験者が恐れていた事態が仮に現実化したとしても、その大半は「予想していたよりも遥かに軽い影響」で済み、事前の準備や周囲の助けによって難なく解決されていました。つまり、「自力ではどうにもならない致命的な災厄」が的中する確率は、統計的に見ればわずか3%前後に過ぎないのです。書籍の「9割」という表現は誇張ではなく、心理学と統計学の観点からも極めて整合性の高い数値と言えます。