福島県内には数多くのスイーツ店や観光牧場が点在していますが、その中でも「まきばのジャージー」が放つ存在感は群を抜いています。年間を通じて客足が途絶えない最大の理由は、原料であるジャージー牛の搾りたて生乳の品質そのものにあります。
日本国内で飼育されている乳牛の約99%は白黒模様のホルスタイン種ですが、同店を運営する金子牧場が頑なにこだわり続けるのは、イギリス海峡に浮かぶジャージー島原産のジャージー種です。ジャージー牛の生乳は、ホルスタイン種に比べて乳脂肪分が約1.3倍、無脂乳固形分やタンパク質、ビタミン類が極めて豊富に含まれており、その淡い黄金色の見た目から欧米では古くより「ゴールデンミルク」と称されてきました。
一般的な市販アイスクリームは、脱脂粉乳や植物性油脂をブレンドして人工的な滑らかさを演出することが少なくありません。しかし、同店のジェラート・アイスは、毎朝搾乳される極めて鮮度の高いジャージー乳の風味を損なわない低温殺菌を採用しています。口に含んだ瞬間に広がる濃厚なバターのような乳脂肪の甘みと、喉を通ったあとに一切の脂っこさを残さない清涼感。この「濃厚でありながら驚くほど澄んだ後味」という二律背反の味わいこそが、片道数時間をかけてでも現地へ向かわせる決定打となっています。