物語の上でサシャを死に至らしめたガビ・ブラウンを演じたのは、実力派声優の佐倉綾音でした。第67話のオンエア当時、SNSや掲示板ではサシャの急死に対する激しい悲嘆とともに、引き金を引いたガビというキャラクターに対して強い感情的反発が巻き起こりました。
しかし、制作現場におけるキャスト同士の関係性は、そうした安易な対立構造とは一線を画していました。佐倉綾音は各種インタビューで、「ガビという少女が背負わされた洗脳と憎悪の連鎖を表現しなければならない重圧」を語りつつ、小林ゆうが現場で放つ温かな包容力に救われたと明かしています。小林自身も、物語の必然性としてガビの立場を深く理解し、佐倉に対して一切のわだかまりなく、互いの熱量をぶつけ合う戦友として接していました。
視聴者の受け止め方も、物語が進むにつれて大きな変化を見せました。サシャを失ったニコロがガビにワインボトルを振り下ろそうとし、サシャの父親であるブラウス氏が「森を出るんだ」と憎悪の連鎖を断ち切る名演説を行うエピソード(第72話「森の子ら」)を経て、ファンの視線は「犯人への怒り」から「戦争がもたらす悲劇の構造」へと昇華していきました。小林ゆうの演じたサシャの命は、退場後もなお作品の倫理的核として機能し続けたのです。