マニラ郊外にあるフィリピン入国管理局のビクタン強制収容所。本来であれば国外退去処分を待つ身柄拘束施設であるはずの場所が、凶悪な犯罪集団の司令塔と化していた。
実態は収容所という名の治外法権だ。看守への賄賂次第でスマートフォンが自由に手に入り、個室にはエアコンやWi-Fiまで完備されていた。VIPルームと呼ばれたその一角から、日本国内の実行役に向けた強盗の指示が日常的に飛び交っていたのだ。カネさえ積めば女を呼び、酒を飲み、デリバリーを頼む。塀の内側に築かれたこの異常な特権空間が、遠く離れた日本各地の平穏な住宅街を地獄へと変える発信源となった。