唇は全身の皮膚の中で最も角層が薄く、知覚神経と毛細血管が極めて高密度に集中している部位です。そのため、施術を検討する方の多くが「痛み」と「施術後の見た目の変化」に対して強い不安を抱えています。取材と利用者の手記から見えてきたリアルな経過を検証します。
まずリップアートメイクの痛みと麻酔について、施術現場では主に外用麻酔(麻酔クリーム)が用いられます。痛みの感覚には個人差があるものの、現場の取材では「チクチクとした針刺激が続く」「毛抜きで連続して皮膚を挟まれているような熱感を伴う痛み」と表現されるケースが目立ちます。痛みに弱い方に対しては、クリニックによって歯科領域でも使われる浸潤麻酔(局所麻酔注射)やブロック麻酔を併用し、痛覚をほぼ遮断した状態で施術を行う医療機関も増えています。
施術直後から始まるリップアートメイクのダウンタイム経過は、事前にシミュレーションしておくべき過酷さを含んでいます。施術当日から翌日にかけては唇が通常の1.5倍近く腫れ上がり、赤みも鮮烈に出るため、人前に出るのが困難な期間が生じます。
特に重要なのがリップアートメイクの皮剥け期間です。施術後3日目あたりから唇の表面が乾いた海苔や薄皮のようにカサカサになり、ポロポロと剥がれ落ちていきます。ここで無理に手でめくってしまうと、定着しかけている色素まで一緒に剥がれ落ち、深刻な色ムラの原因になります。皮剥けはおよそ施術後5日から7日程度で落ち着き、約1ヶ月をかけて内側からじわじわと自然な発色が浮き上がってきます。
さらに見過ごせない合併症が、針刺激による口唇ヘルペスの発症です。成人の過半数が体内に保有している単純ヘルペスウイルスは、唇への物理的侵襲や免疫低下によって活性化します。水ぶくれが生じると、その部分の色素が完全に抜けて白く抜けてしまうため、医療機関による口唇ヘルペスの予防内服(抗ウイルス薬の事前処方)を徹底しているかどうかが、仕上がりの明暗を分ける決定的な要素となります。