楽曲の認知度が高まるにつれ、ネット上では魚 魚 魚 フレーズ 元ネタにまつわる様々な推測や都市伝説が飛び交ってきた。代表的な噂の真偽を検証する。
「海外の民謡や童謡からの盗作」という誤解の是正
一部の掲示板やSNSでは「元ネタとなった北欧や東欧の民謡があるのではないか」と語られることがあるが、これは明白な事実誤認である。作曲の井上望氏自身が当時の制作秘話を明かしている通り、本曲は「小さな子どもが一度聴くだけで真似できる単純なペンタトニックスケール(五音音階)」を意識し、完全にゼロから書き下ろされたオリジナル楽曲だ。童謡『森のくまさん』や昭和歌謡の明快なリフレイン構造を分析し、日本人の耳に最も馴染みやすい符割りを緻密に計算した結果生まれたものである。
漢字マニアを唸らせる「魚が3つ」の難読漢字「鱻」との関連
「魚 魚 魚」の並びから連想される有名なトリビアが、魚が3つの漢字 鱻の読み方である。この漢字は音読みで「セン」、訓読みで「すく(ない)」「あたら(しい)」と読む。JIS第3水準・漢検1級レベルの極めて難解な漢字だが、その成り立ちは「生き生きとした魚が群がり、新鮮であること」を示す会意文字だ。
ネット上では「『おさかな天国』のタイトルやフレーズは、この『鱻』の字からインスピレーションを得たのではないか」というロマンあふれる説が散見される。しかし制作陣の証言を検証する限り、作詞の伊藤薫氏は「漢字の知識から逆算したのではなく、売り場で魚が飛び跳ねる情景と、子どもが連呼しやすい音感を純粋に追求した」と振り返っている。偶然の一致とはいえ、3000年以上の歴史を持つ漢字の成り立ちと、平成のポップソングが「鮮度と魚の躍動」という同一の着地点に至った点は興味深い符合と言える。
全32種類の魚介類が登場する驚異の歌詞構成
多くの人はサビのフレーズばかりに気を取られがちだが、おさかな天国 歌詞の真骨頂はAメロ・Bメロに散りばめられた怒涛の魚名ラッシュにある。「タイ、ヒラメ、カツオ、ブリ、サバ、サケ、アジ…」と、1番から3番を通して登場する水産物は実に全32種類。しかも単なる羅列ではなく、「朝から晩まで泳いでる」「春・夏・秋・冬」といった生態や旬の要素を巧みに押さえた知育ソングとしての完成度を誇っている。