SNSや匿名掲示板、知恵袋などの検索窓に「金沢工業大学」と打ち込むと、サジェストに「Fラン」「やばい」といったネガティブな文言が散見されます。しかし、大学教育の定量的実態を知る専門家の視点から断言すれば、「金沢工業大学はFラン大学では断じてない」というのが客観的な事実です。
では、なぜこのような不名誉な風評が定期的に湧き上がるのでしょうか。その背景には、学歴観に関する2つの認知バイアスが潜んでいます。
第1の要因は、「地方私大=Fラン」と短絡的に結びつけるネット層のステレオタイプです。首都圏のMARCHや関西の関関同立といった知名度重視の大学群と比較した際、北陸地方の単科系大学という立ち位置から、内容を知らない層が根拠なく軽視するケースが後を絶ちません。河合塾の定義上、Fランクとは「定員割れ等により合格確率のボーダーフリー(BF)となった学科」を指しますが、金沢工業大学の一般選抜でBFが付く学科は存在しません。
第2の要因は、工科系特有の偏差値算出ルールに対する無理解です。私立文系大学の偏差値は英語・国語・社会の3教科(場合によっては2教科)で算出されるのに対し、理系私大は数学Ⅲを含む難易度の高い理数科目で競われます。理系志望者全体の学力母集団は文系よりも上位層に偏るため、同じ学力層であっても理系の偏差値は文系より「5〜10程度低く表示される」のが受験界の構造です。文系の偏差値50と理系の偏差値45を単純比較することは、学術的測定としてナンセンスと言わざるを得ません。
偏差値推移の経年データを追っても、2024年から2026年に至るまで、志願者倍率は堅調に推移しています。就職氷河期の再燃や技術職志向の強まりを背景に、実学重視の堅実な受験生層から極めて安定した支持を集め続けています。