江戸時代における「部屋住み(へやずみ)」とは、武家の次男や三男など家督を継がない男子が、実家の屋敷内の一室を与えられて居候同然に暮らす状態、またはその人物自身を指す言葉です。
戦国時代までは、戦功を挙げて新たな領地を獲得すれば次男以降にも領地を分け与える(分家する)ことが可能でした。しかし、徳川幕府によって泰平の世が訪れると、領地の配分は完全に固定化されます。幕府から与えられる知行(石高や俸禄)は家ごとに厳密に定められ、分割相続をすると家そのものの経済基盤が崩壊してしまうため、原則として長男単独相続(長子相続)が徹底されることになりました。
その結果、長男以外の男子は自活する手段を奪われ、実家の庇護下で部屋住みとして飼い殺しにされる構造が定着したのです。