抹茶パウダーを購入する際、最もトラブルになりやすいのが「飲用」と「製菓用」の取り違えです。パッケージの見た目は似ていても、茶葉の加工工程や求められる性質には決定的な違いが存在します。
飲用抹茶(茶道用・本格点て用)は、覆い下栽培された新芽の一番茶を主原料とし、石臼で極めて細かく挽かれています。渋みが少なく、アミノ酸(テアニン)による豊かな旨味とふくよかな香りが特徴です。しかし、熱に弱いため焼き菓子に使うと熱変色でくすんだ茶色になりやすく、生地の油分や糖分に香りが負けてしまう弱点があります。
一方の製菓用抹茶パウダーは、二番茶以降の茶葉をブレンドし、苦味や渋味の輪郭をはっきりと残す設計になっています。熱を加えても緑色が飛びにくく、バターや生クリームの強い風味の中でもしっかりと抹茶本来のパンチが主張するように調整されています。一部のプロ向け製菓用抹茶には、退色を防ぐために天然由来のクロレラが微量配合されている製品もあります。
さらに注意すべきは、「粉末緑茶(粉末煎茶)」との混同です。粉末緑茶は煎茶をそのまま粉砕したものであり、製法(日光を遮る覆い栽培をしていない点)が抹茶とは異なります。粉末緑茶をお菓子作りに代用すると、独特の強い渋みや酸味が前面に出てしまい、求めていた抹茶の風味とはかけ離れた仕上がりになるリスクがあります。