堤義明氏の歴史を振り返る上で外せないのが、米経済誌『フォーブス』が毎年発表する世界長者番付での圧倒的な記録です。1987年に同誌が世界長者番付の公開を開始した際、初代世界一の富豪として認定されたのが堤氏でした。当時の推定資産額は約2兆円以上(200億ドル超)と報じられ、バブル前夜の日本経済の勢いを世界に見せつけました。
その後も1990年代初頭にかけて複数回にわたり世界首位を維持。当時、プリンスホテル、苗場スキー場をはじめとする全国の広大なリゾート開発、さらには西武ライオンズの黄金期を率い、「国土計画(後のコクド)」を頂点とするピラミッド型支配を確立していました。グループが保有する莫大な不動産の含み益を背景に、実質的な影響力は国家予算にも匹敵すると言われた時代です。
しかし、その莫大な資産の多くは「コクド」という非上場企業が抱えるグループ全体の不動産価値や株式の評価額に依存していました。個人名義の純粋なキャッシュというよりも、強固な相互持株構造によって実質支配していた資産であった点が、後の急転直下の没落劇へとつながっていきます。