海外旅行や国際ビジネスでメキシコと関わる際、最も多くの人が混乱に陥るポイントが「サマータイム廃止の経緯」です。メキシコでは1996年以降、省エネ効果やアメリカ市場との同期を目的に、毎年4月から10月にかけて時計の針を1時間進めるサマータイム制度が長年運用されてきました。日本のガイドブックや古いウェブサイトに「夏場は時差が1時間縮まる」と記載されているのは、当時の名残です。
転機となったのは2022年10月、当時のロペスオブラドール大統領主導で可決された新法(標準時間法)の施行でした。政府の調査によって「電力消費の削減効果は年間0.2%未満と極めて微小であり、むしろ体内時計の乱れによる睡眠障害や心血管系への健康被害が大きい」という医学的・統計的根拠が提示されたのです。世論の強い後押しもあり、連邦議会で圧倒的多数の賛成を得て廃止が決まりました。
これにより、2023年以降のメキシコ標準時最新情報では、一部の例外エリアを除いて年間を通じた時間変更が一切なくなりました。かつてのように「夏はマイナス14時間、冬はマイナス15時間」と季節を気にする必要はなくなり、基本的には1年を通して固定の計算式でメキシコ現在時刻を把握できるようになっています。