ブラジル北東部マラニャン州に位置するマラニャンセス国立公園(正式名:パルケ・ナシオナル・ドス・レンソイス・マラニャンセス)は、総面積およそ15万5,000ヘクタール(東京都の約7割に匹敵)に及ぶ広大な砂丘地帯です。ポルトガル語で「マラニャン州のシーツ(レンソイス)」を意味するその名の通り、まるで風になびく白い布のように美しい波状の砂丘がどこまでも続いています。
この景観が世界屈指の奇観とされる最大の理由は、ブラジルの白い砂漠にエメラルドグリーンの池が無数に出現する点にあります。一般的な砂漠が年間を通して極度に乾燥しているのに対し、この地域は熱帯雨林気候の境界に位置し、年間およそ1,200〜2,000ミリメートルという日本の年間降水量にも匹敵する大量の雨が降ります。
2024年7月、インドで開催された第46回ユネスコ世界遺産委員会において、マラニャンセス国立公園は「比類なき自然美と地球の歴史を証明する地質学的景観」として評価され、満場一致で世界自然遺産への登録が決定しました。世界的な環境保全の枠組みが強化されたことで、砂丘内への4WD車両の乗り入れ規制やガイド同伴の厳格化など、持続可能なエコツーリズムへの転換が進んでいます。