画像診断で骨のズレを指摘されると、「歳をとったから仕方がない」と諦めてしまう人が後を絶ちません。しかし、同じ年齢であってもすべり症を発症する人と無縁の人が明確に分かれるのはなぜでしょうか。取材を重ねると、日常に潜む「見落とされがちな3つの根本原因」が浮かび上がってきます。
第1の要因は、女性の更年期におけるホルモンバランスの激変です。変性すべり症の男女比はおよそ1対3から1対4と、顕著に女性に偏っています。女性ホルモンのひとつであるエストロゲンには、骨密度を保つだけでなく、関節や靭帯のコラーゲン組織を柔軟かつ強靭に維持する役割があります。閉経前後にエストロゲンが激減すると、椎骨を繋ぎ止めている黄色靭帯や後縦靭帯が弾力を失って一気に緩み、椎間板の変性が急激に加速します。
第2の要因は、骨盤の前傾(反り腰)とインナーマッスルの機能不全です。デスクワークや運動不足によって大腰筋や腹横筋、骨盤底筋群が衰えると、重い上半身を支えきれずに骨盤が前方に傾きます。腰椎の前弯(前にカーブする形状)がきつくなるほど、上からの荷重が「椎骨を前へ滑り落とそうとする剪断力(せんだんりょく)」へと変換されます。日々の立ち姿勢そのものが、自ら背骨を押し出す持続的なプレッシャーになっているのです。
そして第3の盲点が、背骨の可動性の偏りです。股関節や胸椎(背中の骨)の柔軟性が失われている人は、歩行や物を持ち上げる際、動かない胸や股関節の代償として腰椎ばかりを過剰に動かしてしまいます。可動域を超えた負荷が特定の腰椎関節に集中し続けた結果、組織の破綻を招きます。