『リメンバー・ミー』を弾き語る上で、最初に整理すべき決定的な要素が「どの音域(キー)で歌い、どのポジションにカポタストを配置するか」という設計です。日本版劇中歌として親しまれている石橋陽彩 原曲キーは、変ホ長調(E♭メジャー)を基調として展開されます。当時変声期前だった石橋陽彩氏の透き通るようなハイトーンボイスを再現しようとすると、成人男性の一般的な声域にとっては高すぎて発声に無理が生じ、逆に女性にとっては中低音域のコントロールが求められる絶妙なレンジに位置しています。
ここで威力を発揮するのがリメンバー・ミー カポ設定の最適化です。アコースティックギターで原曲のキーを保ったまま開放弦の豊かな響きを活かす場合、「カポタストを3フレットに装着し、Cメジャーキー(ハ長調)のフォームで弾く」、あるいは「カポタストを1フレットに装着し、Dメジャーキーのフォームで弾く」というアプローチが極めて実用的です。特にカポ3のCフォーム進行は、後述する美しいアルペジオの音色を最も手軽に引き出せるため、国内外のプロミュージシャンも推奨する定番のセッティングとなっています。
一方で、自身の声域に合わせて歌いやすさを最優先する場合は、カポを外したレギュラーチューニング(開放)でGメジャーキーやCメジャーキーにトランスポーズ(移調)して演奏する選択肢も視野に入れるべきです。楽曲の美しさは絶対的な高さではなく、コードの響きとメロディの抑揚の一致によって生み出されるため、無理な高音発声によるピッチの乱れを防ぐことが弾き語りの完成度を大きく左右します。